11月23〜11月26日

<11月23日(金)>

ものすごく評判がよかったらしい日本公演から帰国したバンベルグ交響楽団の演奏会。いつもとは違うレストラン,O-drei(Oは本当はウムラウトでオーストリア=Oestreichの意味だと思われる。でもdrei=3の意味は分かりかねる。名前はともかく,オーストリア料理専門店)でオーストリア料理(あたりまえだ)を食べてから聴きに行った。料理ははなまる。

コンサートのプログラムはこれ。

  • ラフマニノフ:ピアノ協奏曲3番 d op.30
  • グラズノフ:バレエ音楽「四季」 op.67
    • 指揮:Mikhail Pletnev
    • ピアノ:Nikolai Lugansky

ルガンスキーのラフマニノフが,ともかくすばらしかった。プレトニョフは,ものすごくわかりやすい職人的な棒をふるなと思った。次ぎに何が起こるかよく見える。バレエ音楽を休憩後にもってきたプログラムだけど,若干散漫感があった。いろんなモチーフが次々に来るので,シンフォニーに比べると,どこに気持をもっていけばいいのか,難しいのですね。よく知っている曲なら,話はちがったのかも知れないけど。聴く耳がなかったかな。でも,前後が逆だった方が,よかったな。

バンベルグの町のクリスマスマーケットはまだはじまってないけど,お酒の屋台はフライングで開業中。この町のマーケットも楽しそう。

バンベルグの屋台
フライング営業のバンベルグの屋台


<11月24日(土)>

週末ですね。ミュンヘンに来ました。家からは2時間もかからないので,移動は楽。人が多くて,大都会を感じる。エアランゲンは,のんびりした街だと改めて感じる。

目的は,夜のバイエルンオペラの魔笛。

やっぱりすごい,バイエルン。夜の女王はもちろんパパゲーノ,パパゲーナも感動的。案内役の子どもたちも透明な声で歌っていた。音楽自体はとても楽しめた。

立ち見席
バイエルンオペラの立ち見席:天井桟敷
ここに限定の助詞「は」があるのはですね…今日の席は本当の天井桟敷だったからなのです。満席でそこしか手に入らず。ホールの天井に手が届く,立ち見席(と言っても,指定席になってる=steh platzという)。立ち見席にもいろいろあるのがバイエルンオペラなのだと,今回はじめてわかった。今日の席は正面の一番うしろ。立ち見席が2重になっててその2列目…つまり本当の一番後ろ。立ち見とは言え,おしりを置く台はある。でも,そんなことをしたら,全く見えない。前の手すりによりかかって乗り出したり,柵に足をかけて身体を持ち上げたりしなければ見えない。そして,ただでさえ見えないのに,前の列の女の子たち3人が思いっきり身体を乗り出すので,もうこの子たちしか見えない。さらに,1つのオペラグラスを取り合ったり声を出したりで,ざわざわして大変だった。…でも,この3人,本当にオペラを一所懸命見てたし,楽しんでもいた。そういう楽しみ方をする席なのかも知れない。こちらも,いろんな場所に移動しつつ,そういう環境を楽しんだ。おもしろかった。

更におどろいたのは,立ち見席のうしろに座席があるところがあること。2重の立ち見席の後ろの列が座席なわけ。したがって,前に立ち見の人がいて,その後ろの座席に座る形になる。そして,この座席には手元灯がついている。そこに座っている人には,全く舞台は見えない。見る気もない人が多い。何をしてるかというと,スコアを読んでる。中には,時々階段の所まで見に行く人もいるけど,動かない人もいる。聴くだけにそこにいるわけではないだろうから,どこかで魔笛を演る歌手か指揮者かもしれない。

そんなわけで,妙な楽しみ方をしてホテルに帰る途中,ミュンヘン中央駅も電飾されていた。真ん中のまるい穴に見えるのは,時計。

ミュンヘンのクリスマスマーケットは26日から。

ミュンヘン中央駅の電飾
ミュンヘン中央駅の電飾

<11月25日(日)>

夜はもう一つオペラ。

お昼間は,普段あまり行かない(行くならいつもアルテ・ピナコテークなので)ノイエ・ピナコテークに行った。

Waldmueller (1793-1865)の窓の中の若い農婦と3人の子どもたち (1840)が好きだったな。
一番左の子どもがなんともいい笑顔をしているように感じた…この写真でみるよりも。

Buerkel (1802-1869)のパルテンキルヘンの驟雨 (1838)が嬉しかった。
パルテンキルヘンは,ミュンヘンからアルプスの方に1時間ほどローカル線で行ったところにある,とても素敵な(かわいいという感じか)村。一つ一つの家がとても大きくて,どの家にも花が一杯飾ってある。そして,オーバーアマガウ地方特有の壁のフレスコ画や長い雨樋,ドイツの最高峰ツークシュピッツまで続く緑と相まって,得も言えぬ美しい風景になっている。そして,現在の家並みが,この絵と一緒なのです!路に牛がいたりはしないけど。

Hodler (1853-1918)の人生に疲れた人々 (1892)は,来る度に身に浸みる絵。
深刻さはちがっても,ほとんどみんなそう思うのでしょうけど。


※ところでどこにでも売ってそうな,こんなものをミュージアムショップで買ってしまった。作品をどうぞ。

作品1
作品1
作品2
作品2
作品2
作品3

3D眼鏡
3D眼鏡:どこにでもありますね

バイエルンオペラ2日目。今日の演目は,トゥーランドット。
  • 指揮:Marco Armiliato
  • 演出:Carlus Padrissa, La Fura dels Baus
  • トゥーランドット:Irene Theorin
  • カラフ:Yonghoon Lee
  • ティムール:Alastair Miles
  • リゥ:Serena Farnocchia
  • ピン・パン・ポン:Markus Eiche, Alexander Keimbacher, Emanuele D'Aguanno

カラフの声がすごいの一言。韓国出身の歌手ですね。

それもそうだけど,演出がとても近代的。…客席に入る時に,なぜか立体眼鏡を渡された。何が起こるのかと思ったら,まず舞台の真ん中に巨大なドーナツ型のスクリーンが降りてくる。そこに,3D映像が映し出される中央で歌う。ほとんど常に上から誰かが吊られた状態の,立体オペラだった。

そして,今日も立ち見席。今日のは,右サイドの3層目。昨日の場所より条件は悪い。そもそも,自分たちがいるバルコンが舞台の方に出っ張っているせいで,もとから舞台の半分ははじめから見えない。バルコンの一番前に座って身を乗り出さないと見えないようだ。

救いは,この3D。空中にいる演者たちは,見える。オケピットの音は,昨日よりもダイレクトに響いてきた。足は疲れたけど,今日も存分に楽しめた。

残念だったのは,隣で同じ境遇で観劇していた日本からの新婚カップルが,2幕で帰ってしまったこと。「これから」なのに!!奥さん,しんどかったのかな。


<11月26日(月)>

ミュンヘンのクリスマスマーケットは今日から。エアランゲンに帰る前に,いくつか回ってみた。とはいっても,あまりにあちこちにあって,すごい規模だ。これだけの規模を支える購買者は,どこからやってくるのだろう。もちろん,世界中からだね。…ただ,やたらロシア語が飛び交っているように思える。少し前に感じた,韓国,中国からの旅行者の数は,そう多くなく感じる。

こじんまりして良い感じのマーケットが,レジデンツの中にあった。メルヘンの国は子ども対象かな。

おそらくメインのマーケット(そんなものがあるなら)は,人形が踊るので有名な市役所のマリーエンプラッツだろう。グリューヴァイン(ホットワイン),レープクーヘン,ソーセージ,人形の飾り,木製やガラス製の装飾品,陶器の小さな家,砂糖を搦めたナッツ,焼き栗,いろいろな店が出ている。

ここで,昨日の新婚カップルを見かけた。元気そうにしていたのでよかった。

レジデンツのクリスマスマーケット入り口
レジデンツのクリスマスマーケット入り口
メルヘンの区画
メルヘンの区画
赤ずきんちゃんです
マリーエン広場のクリスマスマーケット
マリーエン広場のクリスマスマーケット
後ろの塔が市役所
メルヘンの区画
クリスマスオーナメントの店

ところで,市役所の中には,誰でも入れるセルフサービスの食堂があって,サラダやソーセージ,ステーキなどが結構おいしく食べられる。待ち合わせをしつつ,昼食はここでとったのだけど,ここでもグリューヴァインとシュトーレン(クリスマス用のケーキ)を出していた。シュトーレン,おいしかった。

マリーエン広場からカールス広場までは,いわゆるショッピング街なのだけど,この通りもすべてマーケットになっている。歩きながら,これって,場所の差は大きいなと思った。抽選なんだろうか。

カールス広場について驚いたのは,来たときからえらく立派な屋台を作ったなと思っていた構造物が,実はスケートリンクだったこと。その入場口とかの建物だったのね。二階立てで,上にもバーがあるなと思っていたら,それは観覧席だった。しかし,ビール祭りの時の巨大遊具もそうだけど,臨時でスケートリンクを作る発想にはびっくりする。都会の中にも,以外に広いスペースがあるのだ,と感心した。

市役所食堂の中
市役所食堂の中
グリューヴァイン・シュトーレン・クリスマスツリー
カオフィンガー通りのマーケット
マリーエン広場とカールス広場の間
カオフィンガー通りのマーケット
メルヘンの区画
カールス広場のスケート場
これ,臨時です!
エアランゲンのマーケット
エアランゲンに帰ったら
こちらも準備万端の様子だった

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