12月9日〜19日

<12日9日(日)>

夕方からフランクフルトに移動。日本でやるセミナーのためにかみさんが一時帰国。最近天候が悪く,ICEが遅れるとフライトに乗れなくなるかもしれないので,前日にフランクフルト入りとなった。一時帰国とはいっても,いろいろ物資の移動もあって,トランク2つ分あったし,翌日まで持ち歩くのも大変なので,まず空港の荷物預けに寄る。コインロッカーではなくて,窓口預け。2時間まで,というのと1日いくら,という2つの預け方ができる。Bターミナルの全日空カウンターの正面あたりにある。知っていると便利だと思った。

どうにもおどろいたのが,ルフトハンザ・カウンターに並ぶ人の多さ。最近通る度に,とても長い列を見る。原因は何なのだろうか。もしかしたら,自動チェックイン機を増やしすぎて,カウンターでなければ困る人たちが列を作っているのかもしれない。これで本当に間に合うのだろうか,というような数十メートルの列になっていることが多い。くわばら…である。

晩ご飯をどうするか…だけど,手軽に済まそうということで,レーマーのマーケットに行った。ここのクリスマスマーケットは見納めかな。

クリスマスマーケット
クリスマスマーケット
チーズフォンデュ
食べたのはチーズフォンデュ
手前の丸いのがそれに使うチーズ
まわりながら自動的に削いでいく
削いだチーズをもらってそのまま食べたけど
最高においしかった!
12月10日(月)

見送りした後,遠距離駅からICEにのって帰宅。今週は寒い。零下数度が続くようだ。基本的にフランクフルトよりもエアランゲンの方が寒い。南にあるのに…と思うのだけど,地形の影響とかがあるのだろう。少し前からうっすら積もっていた雪が凍って,その上を車や人が通って固めてくれるものだから,滑る。こういうのを,金沢では「きんかんなまなま」と言ったぞ,と思い出して面白かった。体験から覚えたことばは,同じ状況だと出てくるわけだ。ドイツ語の音も,例えば007を「ヌルヌルジーベン」と言って(すごい弱そう!),われわれにとっては相当面白い音に聞こえるのだけど,日本語の音も不思議。語源は不明らしい。

花
ダイニングに生けてあった花

帰宅後,実は引っ越しだった。同じアパートの2階から1階の部屋に引っ越すだけ。とは言っても,エレベータは無いし,閉めると鍵がかかってしまうドアが3枚ある。荷物輸送の強力な味方,トランクは日本に行ってしまったので,カウフランドでゲットしてきた段ボールの箱に少しずつ入れて運ぶ。来たときには,合計トランク4つ分+αぐらいの荷物しかなかったはずなのに,調味料とか洗剤とか,こちらで買い足した物が結構ある。これらをちょっとずつ運ぶため,都合40回ぐらい往復したか。上下移動がたったの1階分でも,相当応えた。それでも,どうにか夕方には終了。運んだものを片付ける力が残って無くて,そのまましばらく意識不明。

新しい住居は,少し広い。これまでの所だと,誰かが尋ねてきてくれても,プライベートな空間は作れなかったのだけど,ここでは何とかそれが可能だ。

この部屋は,この前までかなりお年の老夫婦が使っていた。ダイニングのテーブルに座ってほっこりしたのは,棚に花瓶があって,花が生けてあったこと。家の中に色があるのは,とても嬉しい。

それと,バルコニーに机が置いてあるのがこのアパートのデフォールトなのだけど,そこに小鳥のためのトレイが置いてあって,中に餌が一杯入っていた。静かに見ていると,雀がやってきてついばんでいく。少しでも動くと逃げてしまうのだけど,それを椅子に座ってじっと見て楽しんでいたおばあさんの姿を想像して,なんとなく嬉しくなった。

小鳥の餌
トレイに入った小鳥の餌


12月11日(火)

新しい住居のキッチンのレンジフード,点くはずの灯りが点かない。球切れかなと思って,カバーを開けてみた。なんと,電球がないやん。

それに,元の住居に置いてきた2つの白いボウルがうちのだったと判明。そういえば来たときに買ったのだった。

この2つを大家さんに言いに行った。それで,キッチンに白いボウルが2つあるはずなので,それをもって来て欲しいということと,レンジフード用の電球を2つ欲しいと伝えた。そしたら,その場で白いのね,と言って電球を2つ手渡された。帰ってみると,大きくて穴に入らない。なので,もっと小さいのに取り替えてもらいに行った。でも,これも入らない。しょうがないからもう一度大家さんの所に行ったら,見に来てくれた。そしたら,これ,壊れてるの!と言って帰っていった。どうりで,天井灯りのカバーをはずしてあるはずだ。暗くてしょうがないもの。

そして,白いボウルはいっこうにやってくる気配がない。しばらく考えて見て,もしかしたら誤解があったかも知れないと思い至った。「2つ」「白いの」がキーワード。で,確認に行ったらやはり思い違いをしていた。2つの白い大きな電球が欲しいと思われていたようだ。発音おかしかったか?…かくして,2つの白い大きなボウルも手に入った。

でも,壊れたレンジフードは壊れたまま。家賃払ってるんだけどなぁ。


12月12日(水)

夜は,市役所のコングレスホールでコンサートがあった。いつもは出かけて聞いているバンベルグ・シンフォニカーの出張演奏会。

バンベルグ・シンフォニカーは,いつもより音がまとまっているように感じた。もしかしたら,バンベルグのコンサートホールより良いのか?バンベルグのホールは,とても珍しいのだけど,指揮者を底にすり鉢状に段になっている。通常は,平らなステージの弦楽器の後ろに位置する管楽器だけ段にあげる。ここは,弦楽器の2プルト(同じ譜面を見る2人一組をプルトと呼ぶ)目からすでに段になっている。なので,上下差はかなりできる。それと,ベースをファーストの後ろに配置しているのだけど,セカンドの後ろには誰もいない空間ができる。そのあたりで,もしかしたら一体感が薄れているのかもしれない。いずれにしろ,良い感じで聴けた。

ビオラの曲は,ずっとすごい緊張感のある曲だった。奏法でびっくりしたのは,押さえた左手よりも指板側で弾くもの(スル・タストではないのですよ。何と言うのだろう。普通は,押さえた所と駒の間を弾きますね。引く位置を変えるとしても駒の上あるいはそばを弾くスル・ポンティチェロ,弓を指板側に寄せて引くスル・タストなのだけど,押さえた指よりヘッド側を弾くのです)。当然,弾いたところに楽器の胴体はないので,普通の音は出ない。

ファーストの一番後ろがどういうわけか途中で立ち上がって準備していると思ったら,Zimmermannとツインソロになった。よく見ると,いつもはビオラトップにいる韓国人(たぶん)の奏者だった。どうしてそこでなければいけなかったのが今一わからなかったけど,それまでずっとファーストを弾いていたのかな。楽器は持ち替えたのだろうか…など,いろいろ悩ませてもらった。

終了後,作曲者が客席に居ることがわかった。Zimmermannが紹介したて前に出て挨拶したのだけど,まさかの平服だった。"Monh"は,オーストラリアのアボリジニの言葉で,星を表すそうだ。何もない平原の夜に空一杯に広がる星,その中に居る寂寥感が曲になっているようだ。この曲は,今日の奏者Tabea Zimmermannに捧げられている。

この曲は興味深かったし,英雄の生涯もとても充実感のある演奏だった。いいコンサートでした。


12月14日(金)

ふとみると,トレイに一杯だった鳥の餌がなくなっていた。期待しているかもしれない小鳥たちに悪いかなと思って,買ってきた。どれがいいのかわからなかったので,穀物や種が混ざったものにした。補充してしばらくたってみると,種だけきれいになくなっていた。どういう判断をするのだろう。そもそも,よく広場にいる鳩たちは,どうやって食べられるものと食べられないものを見分けているのだろう。

今週のエアランゲンはとても寒い。マイナス9度とかの表示がでていることもある。お昼に気温があがっても零下のことも多い。

アパートには小さな庭があるのだけど,いつの間にか雪だるまができていた。

子どものいる家庭が3件住んでいるけど,どこだろう。3段積むことができる年齢の子どもはいないので,大人の仕事だね。横にかまくらのようなものが作りかけで置いてあった。楽しく雪で遊んだんだろうなとほほえましかった。

雪だるま
雪だるまとかまくら


12月15日(土)

時間のかかる仕事を一つ仕あげて,送信。翻訳本をつくっているのだけど,担当分の粗訳が終了した。教育目標についてのこの本,誰かが訳す必要があると思っていたのだけど,さて,買い手はつくだろうか。夏頃には販売できるはず。

お昼ご飯を食べに,中世マーケットに行った。フリカデーレという,ハンバーグのようなものとポテトフライののった皿。なかなかおいしい。

この日,マーケットには魔女が居た。子どもの所に行っては,いろいろ話しかける。すごい怖い顔にメイクしてあるのに,子どもたちはあまり怖がらず,結構人気者。風船細工をしてみたり,人気がある。アーティストであり,アクトレスである。

魔女
子どもに話しかける魔女
魔女
風船細工をする魔女
その後,バンベルグのカフェ,Kunst Pauseに行って,ゆっくり読書。来たときにたまたま入ったところで,ところがその後寄ろうと思っても場所が見つからなかったカフェ。わざわざ探しに行くほどのことはないのだけど,まあ仕事の切り目ということで。泡立てたミルクをのせたミルヒカフェを時間をかけて楽しんだ。
12月17日(月)

12月17日(月) 隣の駅,ブーベンロイトに行ってみた。駅前に商店街があるようなそんな街ではない。ドイツの農村に広がる畑の中に突然駅がある。駅から少しあるくと,パン屋さんや銀行があり,住宅地になる。住宅地の中に,弦楽器の工房がいくつもあるのが,この街の特徴。なので,あちこちに弦楽器マイスターの看板が立っている。ドイツには,ミッテンヴァルトとここの2箇所,弦楽器の製造拠点がある。

ドイツのお店は,ただでさえ目的がなければ入りにくいところが多い。重たいドアを開けて中に入って挨拶して,会話をしながら欲しいものを買うという感じでしょうか。弦楽器工房ともなれば,なおさらである。そもそも,いろんな品物をタダ見るというような状況にはならない。工房に来る人は,楽器が欲しい人とか,楽器を修理して欲しい人,あるいは弦とか松ヤニとかを買いに来る人とかなので,かなり目的がはっきりしている。そんなわけで,どれにもあたらないからのぞきにくいな,と思って歩いて入るところに雨が降ってきた。寒い中での雨はつらい。バス停があったので雨宿りをしてたら都合よくバスがきたので,乗って帰ってきてしまった。バスの中が暖かくてありがたかった。バスだと,うちの裏山を越えてすぐ。また今度,のぞきに行こう。

駅前の景色
駅前の景色
楽器屋さん
弦楽器工房
車の向こうの小さなドアが入り口
商品が見えているわけでなし
何となく入りにくい

12月19日(水)

帰国していたかみさんが戻ってきた。短期間の帰国で,いろんな人に会ったり仕事したりで,大忙しだったようだ。加えて,家の湯沸かしが壊れていてユニット全体の交換をしなければならなかったり,通販関係の連絡が不通になっていたことの処理とか,いろいろ余計なことも発生していたとのこと。

もってきてくれた柿の葉寿司が,おいしかった。

家から徒歩5分ほどのところに,三位一体教会がある。ここで,バッハのクリスマスオラトリオがあるというので,聴きに行った。19時からかと思っていったら,20時からで1時間以上のまち時間。よくみたら,19日を19時と思ったらしい。最近,そういう間違いが多くて困る。…でも,結果オーライで,最終的には満席。20時と思って来ていたら,立ち見だったかも知れない。われわれが堂内に入ったときには,席はよりどりみどりだった。

8時少し前から伴奏の30名ぐらいと合唱団が80名ほどが舞台に登る。祭壇をはみ出して,堂内一杯に広がった。8時に教会の鐘が鳴った。ここの鐘は穏やかで綺麗な和音で響く。良い感じ!鐘が鳴り終わったところでソリストたちが入場。そして指揮者。教会ならではの始まりだった。

最初,ティンパニがやかましく感じたけど…というか音がたるんだ感じ…,まさに太鼓というか…。そういう曲でもあるし,時代的にはこんな感じの音だったのかなと思ったりもした。でも,オーケストラはとてもいい。合唱もいい。そして,ティンパニはしだいに気にならなくなっていった。テナーのレスタティーボがものすごくいい声だったし,ソプラノも素直な綺麗な声。合唱もいいバランスで,6番の終曲直前のカルテットも良いアンサンブルで美しかった。オーボエのデュエット,フルートもよかったし,チェロ,バス,ファゴットの一体感もすばらしい。とても楽しめた夜になった。


メニューへ前へ次へ