Frankfurt生活15週目

<7月15日(日)>

かみさんとI崎さんは,グリューネブルグ公園にのんびりしに出かけた。思えば,この公園,歩きには行っているが,ベンチに座ったこともない。周囲が2km以上あるとても広大な公園で,多くの市民が座ったり寝ころんだり,サッカーをしたり(ダメという高札はかかってるだけど),いろんなことをしながら楽しんでいる。入園料をとるなどというケチなことは言わない。

出かけてからしばらくして,写真を撮りに行った。公園の入り口を入ってすぐの所でご休憩だった。ずっとそこにいたらしい。

夕食を例のVinumでと思っていたら,日曜日は休日だった。がっかり。結局外食はせず,留守中に作ったマッシュポテト(また!)などですませた。

かみさんとI崎さん
かみさんとI崎さん

グリューネブルグ公園
マインタワーからグリューネブルグ公園をのぞむ

<7月16日(月)>

お客さんが来ると,普段行かないところに行ったりする。マインタワーもその一つ。ハウプトヴァッヘからわずかに外れて立つ高層ビル。200m以上の高さがある。ここに料金を払って登ってみた。

すると,グーグルの衛星写真ではイメージできないフランクフルトの概要がとてもよくわかった。かなり遠くまで,例えばバード・ホンブルグとかまで見える。テレビ塔が,いつも歩いているグリューネブルグ公園の端に立っている。それにうちも見えた。マイン川の様子や,中央駅の様子もおもしろかった。どこに何があるかわかって見に行くと,なかなか楽しめる。

こうしてみると,ビルが建ち並ぶ町の中心部は,さほど広くないこともわかる。フランクフルトの周辺は,広大な麦畑なのだろう(と思う)。

マイン川
マインタワーから旧市街をのぞむ
マイン川もくっきり


うち
うちが見えています
左から45%上から25%の所


マインタワーに登る前に通ったタウヌス公園に,写真の像があった。「おまえらは水を,わしにはワインを」(Gesegnet soll der Trunk uns sein: Das Wasser Euch und mir der Wein.)と書いてある。さて,これは誰だ?

どうやら,19世紀にフランクフルトの精神科医によって書かれた絵本を題材にしたもののようだ。「笑う男」というらしい。

夜はグーラシュスープとレバークネーデルスープ,それにグリューネソースを食べに,Zum Grauen Bockに行った。あらかじめメニューを調べて,この3つが揃っていることを確認済み。

ところが時間になっても開店しない。気配もない。となりの店でビールを飲みながら待つこと1時間半。やはり開かない。しょうがないので,近くの店で3品そろうところを探しに探して,GuckGuckという店に入った。これが正解。味が濃くなく盛りつけも上品。なかなかの店でした。

返りにZum Grauen Bockをのぞいたらまだ閉まっていた。日本は祝日だけど,どうして休業だったのだろう?

笑う男
笑う男曰く「わしにはワインを…」

日通
日通の引っ越し便
何気なく通り過ぎてから,おや?日通?
たいしたものです

<7月17日(火)>

I崎さんを見送りにフランクフルト空港に。彼女,時々車椅子を使わなければならない。

チェックインの仕方から,車椅子をゲットする方法まで,これまで体験したことがないいろいろなことがわかった。車椅子だけでなく,子供の一人旅などのさまざまなスペシャルリクエスト対応の窓口があるんだ。


<7月18日(水)>

そろそろいいかと思ってDipfに行ってみたら,土砂の運び出しのパワーショベルと削岩機の二重奏だった。工事が終わるまでは,なかなか大変そうだ。今週は気温が高くて晴れてて,若干暑いものの気持ちいい…と思っていたら,夕方すごい夕立だった。小一時間たってようやくあがった。

町中で日通のトラックを見た。引っ越し作業の最中。働いているのはこちらの人。日本からの引っ越し荷物だろうか。日本企業も頑張るなぁ。こういうのがなかった時代の海外赴任は大変だったろう。今でも自国から直接送れる運送会社がない国の方が多いだろうから,そういう国の人たちの移住はえらく大変だろうな。

帰ったら,待ちに待ったドイツバーン・カードが来ていた…けど,1枚だけ。もう1枚はどうなってん?もう一度催促が必要なんだろうか。実に手際がよくないぞ。ドイツ人はきっちりしていて堅実だという印象があるけど,みんながそうではないんだそうだ。当たり前ですね。


<7月19日(木)>

バーンカードが今日も来ていないことを確認して,中央駅にクレームをつけにいった。電話をかけてもいいのだけど,あと期限が1週間しかないので,次のテンポラリー・カード(紙のカード)をもらわなければ話にならない。それは郵便では無理。交渉してみると,「送ったけど返ってきた」などと怪しげな事を言っている。1枚はちゃんと着いたのに。どういうこっちゃ?

ふと見ると,隣の窓口でも,テンポラリー・カードを見せて交渉している女性が居た。ストライキもいいけど,ちゃんと仕事してよ。…テンポラリー・カードは無事にゲット。本物は,あと7〜10日で着くんだそうだ。ほんまか?


<7月20日(金)>

これからお客さんや旅行が続くので,論文をすすめなければ…。なんとなく部品がつながってきたように思う。つなぐための概念図もいくつかできた。アイデアもワインと一緒で,熟成するまでに時間がかかる。それまで待たないと文章にならない。いつまで待っても熟成しない腐ったアイデアもあるんだけどね。

近くにアンナ・シュミット・ギムナジウムという学校がある。ここが今工事中。外装をやっているのだけど,15cmぐらいの厚さのものを貼り付けている。なんとなく発泡スチロールのような軽さを感じてたたいてみると本当にそうだった。石壁の外側に発泡スチロール?さらに外に壁をつくって断熱材になるのだろうか?どうもそんな感じはしない。そのまま表面加工をしたら大理石っぽく見えるのだろうか。そのうちまた報告します。しかし,すごい工法だ。

天気は一進一退で,晴れたり曇ったり雨だったり。歩きに行ったら途中で降られて引き返した。運動不足!

アンナ・シュミット学校
アンナ・シュミット学校の外壁工事

発泡スチロール
発泡スチロールの断熱材?

グリューネブルグ公園の中央にある花畑
グリューネブルグ公園の中央にある花畑

グリューネブルグの碑
グリューネブルグの碑

C聡到着
C聡嬢到着
一緒に荷物を待つ


土曜市の八百屋
土曜市の八百屋で
<7月21日(土)>

昼食後,グリューネブルグ公園にウォーキングに出た。この時間帯に行くのは珍しい。いつもは公園の周囲を2〜3周するのだけど,最後に中心部に行ってみた。遠目にピンクの花畑らしきものが見えたから。何かのオベリスク状のものが建っているなと思っていた所だけど,まわりがバラ満開だった。そして,その中に写真のような碑があるのを見つけた。“ブルグ”とあるので,ヘッセン侯の城か別荘でもあったのかなと思っていたのだけど,歴史がわかった。

“14世紀頃にあった建物を1789年にピーター・ハインリヒという銀行家が買い取って,「グリューネブルグ」と名づけ,その後1837年に所有権が,やはり銀行家のロートシルト家に移った。1845年に新邸と周囲の英国庭園も造られた。1935年に,国家社会主義ドイツ労働者党の管理下におち,1944年に爆撃で破壊された。”と書いてある。

ロートシルト(Rothschild)というのは,無理に英語読みをすればロスチャイルド。ロスチャイルド家の発祥はフランクフルトのユダヤ人街で,パリやロンドン,ウィーンなど世界各地に一族が散らばって銀行や各種産業,慈善事業を営んでいた。仏蘭西のロートシルトはボルドーの高級ワインなのだけど,これもロスチャイルド家が創り上げたワイン。フランクフルトが金融の町で,バンクフルトと呼ばれていたりすることの発端の一部はロスチャイルド家にあるのだろう。そのロスチャイルド家とグリューネブルグ公園がつながった。

さらに調べてみると,各地のロスチャイルドが事業を営むにあたって重視したのが情報。誰よりも早く正確な情報を手に入れるために,相互に手紙を交換しあっていたが,ドイツ語の手紙の上に斜めに書き重ねたヘブライ語でやりとりしていたらしい。機密保護のためだったそうだ。それに,急を要する連絡には,伝書鳩を使っていたのだそうだ。

そういった情報伝達の工夫が,汚い手を使って金を集めたとして,ユダヤ人の印象を落とすための映画に利用されたということだ。この映画の影響は,未だにあるんじゃないかと思う。

どちらも,教科「情報」の教科書に書くことができそうな逸話だ。詳細は,池内紀氏が『東洋経済』に連載中。


午後の関空便で,友人のK納氏の中1の娘さんがやってきた。ホームステイ。

一人旅なのでちゃんとゲートを出てくるか心配だったのだけど,荷物を持たずにルフトハンザのアテンダントに連れられて出てきた。アテンダント曰く,中に入って荷物を引き上げろとのこと。なるほど,荷物が出てくるまで一緒に待ってくれるわけにはいかないだろうね。

というわけで,アテンダントのIDカードで出口の横のドアをあけて,バゲッジクレームに入場。初めての体験だった。だいぶ待たされて荷物を手にして,フランクフルト市内に向かう。まだ地下駅の工事をしているので,特急駅からの乗車。そのせいで待ち時間が長く,20分ほど待つ。

今日は土曜市。家に帰ると遅くなる。来週の金曜日にはミュンヘンに移動するので,もう来られない。なので,そのままコンスターブルバッヘの土曜市に行ってみた。するとそこには,ステージが。そしていつもの市場が全部飲み屋に変わっていた。ちょっと入ってみたけど,怪しかった。ゲイの祭りだったのではないだろうか?市場の方は,ツァイルの方で営業していた。八百屋でズッキーニなどを購入。

しばらくして,かみさんに背中のシールを発見された。「僕を愛して」ちゅう意味のステッカー。そういえば,さっき肩をたたかれた。その時か!(^_^;)

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